About the Lab
―研究室紹介―
研究の目的と意義
私たちの研究室は、子どもたちの脳のはたらきや心身の発達に関する理解を深め、発達障害や学習の困難に向き合うための支援方法を提供することを目指しています。
全ての子どもが自分らしく成長できるよう、特に発達や学習でサポートが必要な子どもたちに向けて、有益な研究を行っています。
研究を通じて、個々の子どもの特性に合わせたサポートや学習支援プログラムを開発し、社会全体で子どもたちの発達を支える環境作りに貢献することをビジョンとしています。
研究対象とテーマ
私たちの研究室では、子どもたちの日常生活で重要な役割を果たしている「視覚」「聴覚」「記憶」「注意」「運動」など、発達や認知の幅広い領域を対象にしています。
たとえば、視覚や聴覚を通じて得た情報を脳はどのように処理し、記憶として定着するのか、注意力はどのように保たれ、物事に集中する力が発達していくのかなどを調べています。
さらに、他者との関わりや社会性が育つメカニズムも重要なテーマとして捉えています。
これらの領域は、発達障害や学習困難を抱える子どもたちにとって特に重要な要素です。それぞれの領域の成長とはたらきを科学的に解明することで、適切なサポートにつながると考えています。
使用する技術と機器
研究には、脳波測定(EEG)や近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)などの最先端技術を活用しています。
脳波(EEG)
EEGを測定すると、脳の電気的な活動をリアルタイムで捉え、脳がどのように情報を処理しているかを知ることができます。
たとえば、注意力や集中力がどの程度はたらいていており、どのように変化していくのかを、瞬時のEEGデータから読み取ることができます。
近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)
NIRSは、脳の特定の部位での血流変化を測定し、脳がどのようにはたらいているかを可視化します。
認知活動が活発になると、活動に関わる脳部位の酸素消費が増えるため、NIRSデータから脳の活性度を推測することができます。
非侵襲的で安全な方法であり、子どもにも負担が少ないため、多くの実験で用いられています。
実験手法と内容
画面に瞬間的に表示される絵や図形、ことばに対して、子どもたちに特定のボタンを押してもらう課題などを実施します。
このような実験により、反応までの時間や正確性を記録し、視覚や注意力の働きをデータとして見ることができるようになります。
発達に伴う反応速度の違いや、情報処理能力の成長過程を把握することもできます。
実験は、子どもたちの日常生活に似たシンプルな課題を通じて行われるため、親近感があって取り組みやすい内容です。
実験結果から、子どもの個々の認知機能がどのように成長しているか、また、発達障害や学習困難に関連する特性がデータにどのように現れるかを見極めます。
研究の成果
実験研究から得られる成果は、発達障害や学習に困難を抱える子どもたちへの理解を深め、それぞれに合ったサポート方法や支援プログラムの開発する上で、強力なヒントになります。
例えば、特定の認知機能が弱い子どもがいたら、データをもとに有効なトレーニングを開発することで、個別支援が可能になります。
また、得られたデータや知見は、教育現場でのアプローチの改善や、社会全体での発達支援の体制構築にもつながっています。
私たちの研究により、子どもたちが健やかに成長し、可能性を最大限に引き出せる環境が作られていくことを目指しています。